「同じ職場で、同じようにフルタイムで働いているのに、正社員にはボーナスが出て、契約社員の私には出ないのはなぜ?」
「求人票を見ていたら『契約社員:賞与なし』とあった。これって今の時代、違法じゃないの?」
働き方改革や「同一労働同一賃金」という言葉が定着した今、このような疑問やモヤモヤを抱えている契約社員の方は非常に多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、正社員との間に「納得できる理由」があれば、ボーナスに差をつけたり、支給しなかったりすることも法律で認められています。
この記事では、契約社員のボーナス事情と、待遇差のポイントを分かりやすく解説します。
契約社員ボーナスなし?
「契約社員=ボーナスが出ない」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、これは必ずしも正しくありません。
厚生労働省の統計や実際の求人市場を見ても、契約社員に対して賞与(ボーナス)を支給している企業は数多く存在します。
ポイントとなる法律が、2020年(中小企業は2021年)から全面施行された パートタイム・有期雇用労働法(第8条) です。
この法律は、
正社員と契約社員の間で“不合理な待遇差”をつけてはならない
と定めています。
つまり、「契約社員だからボーナスはゼロ」という大雑把な格差はNGとされたのです。
しかし、一方で仕事内容・責任・配置転換の範囲などに“明確な違い”があれば、賞与に差をつけることは認められます。
ここが、大切なポイントです。
正社員との違いが認められる理由
では、「正社員とボーナスの差をつけても不合理とはいえない理由」とは一体何でしょうか。
待遇差の判断基準を示した代表的な判例が、2020年10月13日の最高裁「大阪医科薬科大学事件」です。
この事件では、アルバイト職員(有期雇用)に賞与を支給しないことが争われましたが、 最高裁は 「不合理とはいえない」 と判断しました。
その理由は次の3つです。
①「背負っている責任」の重さが違う
最高裁は、業務の内容には共通する部分があるとしながらも、「業務の難易度・責任の重さ」 に注目しました。
正社員は、
- 学術誌の編集
- 遺族対応
- 部門調整
- 試薬管理 など、専門性や責任の大きい業務を担っていた
一方、アルバイト職員は 定型的で容易な業務が中心。
➡ 責任の重さが違えば、賞与の差は合理的と判断される。
②「転勤や配置転換」の縛りの違い
正社員は、大学内での異動や配置転換の対象となり、 会社の指示に従う義務の範囲が広い。
一方、有期職員は配置が限定され、会社に対する拘束性が小さい。
➡ 働き方の“拘束性の違い”も、待遇差の理由として認められる。
③「ボーナスを支給する目的」
この事件で最高裁が特に重視したのが、 賞与の性質(目的) です。
大学側の賞与は、
- 正社員の能力向上
- 長期的な定着
- 将来の人材確保
を目的としていました。
➡ 賞与が“正社員に長く働いてもらうための仕組み”として設計されている場合、差をつけることは合理的と判断されやすい。
まーちゃんのひとりごと
正社員は賞与あり、契約社員は賞与なし──。 求人票ではよく見かけるケースです。
大切なのは、「賞与がない」という一点だけで判断しないこと。
- 責任の範囲
- 働きやすさ
- 勤務の自由度(残業・転勤の有無など)
こうした条件も含めて、 自分にとって納得できる働き方かどうかを総合的に見ることが大事です。
そしてもうひとつのポイントは、 会社がその待遇差について、きちんと説明できるかどうか。
その説明に納得できるかどうかが、応募を判断する大きな材料になります。
【契約社員ボーナスなし?】正社員との違いが認められる理由についてのまとめ
「契約社員だからボーナスが出ない」という背景には、 仕事内容・責任・配置転換の範囲など、法律が重視する複数の要素があります。
パートタイム・有期雇用労働法(第14条)では、 契約社員から「なぜ私には賞与が出ないのですか?」と聞かれた場合、 会社は“具体的な理由”を説明する義務があります。
もし今の待遇に疑問を感じたら、 必要に応じて厚生労働省が管轄する都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」や、全国の労働基準監督署内にある「総合労働相談コーナー」に相談してくださいね。
よくある質問(Q&A)
Q1. 求人票に「賞与なし」と書かれている会社に応募するのは避けた方がいいですか?
💡 一概に避ける必要はありません。
「賞与なし」と書かれていても、その分、
・残業がほとんどない
・転勤がない
・休日が固定されている
・業務範囲が明確
など、働きやすい条件になっている場合もあります。
面接時に 「正社員と契約社員で、仕事の範囲や責任にどんな違いがあるのか」 を確認し、そのうえで、 “賞与なし”と“働きやすさ”のバランスに自分が納得できるか で判断するのがおすすめです。
Q2. 会社にボーナスの格差の理由を聞いたら、「就業規則で決まっているから」と言われました。
これって正しい説明ですか?
💡 正しい説明(法的な義務を果たした説明)とは言えません。
法律が会社に求めているのは、「就業規則に書いてあるから」という形式的な理由ではなく、「なぜそのような規則(差)にしているのか」という具体的な理由です。
「規則だから」というだけでは、 説明義務を果たしたとは言えません。
Q3. 「寸志(数万円程度)」だけ支給されるのですが、これもボーナスが出ている扱いになりますか?
💡 形式的には賞与の支給実績となりますが、格差が合理的かどうかの判断は別です。
たとえ数万円でも「賞与支給あり」と求人票に書くことはできます。
しかし、正社員が何十万円も受け取っているのに、契約社員だけが数万円にとどまっている場合は、
・その差が仕事内容や責任の違いに見合っているか
・極端な格差になっていないか
がポイントになります。
もし 仕事や責任に大きな差がないのに“寸志だけ” という状況であれば、 不合理な待遇差と判断される可能性があります。
参考元:
・厚生労働省「不合理な待遇差に関する裁判所の判断
・厚生労働省 職場での待遇に疑問を感じたら、労働局にご相談を







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