「有給休暇を取った日は働いたことになるの?」
この質問は、ハローワークの窓口でもよく聞かれました。
結論から言うと、有給休暇は「出勤率の計算や賃金計算上は出勤したものとみなす」けれど、「残業代を計算する際の実労働時間には含めない」という扱いになります。
この記事では、
- 有給休暇は出勤扱いなのか
- 「所定労働時間」と「実労働時間」の違い
- 有給を取ると残業時間の計算(割増賃金)がどう変わるのか
について、元ハローワーク職員の視点からやさしく解説します。
有給休暇 出勤とみなす
出勤率の計算では「出勤扱い」
新しい有給休暇が付与されるには、「全労働日の8割以上出勤していること」が条件となります。
有給休暇を取った日は、この出勤率を計算する上では「出勤したもの」とみなされます。
有給を取ったからといって、次の有給の付与に影響するということはありません。
賃金計算でも「働いた扱い」
有給休暇は、働いていなくても「賃金を保障する」制度です。
- 所定労働時間: 1日8時間
- 有給休暇: 1日取得
この場合、実際には休んでいても、給与計算上は「8時間働いたもの」として通常通りの賃金が支払われます。
⚠️ ただし「残業計算」には含めない
ここが最大の⚠️注意点です。
有給休暇の日は実際には働いていないため、割増賃金を計算する際ベースとなる「実労働時間」には含めません。
つまり、「お給料は出るけれど、残業を計算するときの労働時間にはカウントしない」 というのが有給休暇の決まりです。
「所定労働時間」と「実労働時間」の違い
有給休暇と残業の関係を正しく理解するには、この2つの時間の違いを知ることが欠かせません。
| 項目 | 意味 | 有給休暇を取得した日の扱い |
|---|---|---|
| 所定労働時間 | 会社が就業規則などで定めている「1日の勤務時間」 (例:9:00〜18:00、休憩1時間=8時間) | 含まれる (この時間分、働いたものとして賃金が払われる) |
| 実労働時間 | 机に向かって仕事をしたり、接客や作業をしたりした実際に働いた実績の時間 | 含まれない (実際には労働を提供していないため) |
⚠️なぜこの違いが重要なの?
労働基準法で定められている「1日8時間・週40時間」を超えたら25%以上の割増賃金(残業代)を払わなければならないというルールは、「実労働時間」を基準に計算するからです。
事例でわかる!有給休暇を取ると残業時間はどうなる?
具体的な事例で、誤解しやすいポイントを見てみましょう。
💡 事例:月曜日に有給を1日取り、土曜日に2時間「休日出勤」した場合
(※前提:月〜金の週5日、1日8時間勤務の会社)
- 月(有給): 8時間(お給料は出るが、実労働は0時間)
- 火〜金: 8時間 × 4日間 = 32時間
- 土(休日出勤): 2時間
この週の「実際に働いた時間(実労働時間)」を合計すると、火〜金の32時間 + 土曜日の2時間 = 計34時間 となります。
ここで、「土曜日にわざわざ出勤したんだから、2時間分は25%アップの残業代(割増賃金)になるのでは?」と思ってしまいますよね。
しかし、答えはNO(割増はつかない)です。
労働基準法で25%アップの残業代を払わなければならないのは、週の「実労働時間」が40時間を超えたときというルールがあるからです。
この週は、土曜日に働いた2時間を足しても「34時間」にしかならず、40時間を超えていません。
そのため、法律上は25%アップの割増をつける義務はなく、通常の1時間あたりの賃金(100%)が支払われることになります。
※ここでも会社のルールをチェック!
法律上の義務はなくても、会社の就業規則で「土曜日や休日に働いた場合は、理由を問わず一律で割増賃金を支払う」と決めている会社もたくさんあります。
まずは会社のルールを確認してみましょう。
まーちゃんのひとりごと
有給休暇って「働いたことになるの」 「残業はどうなるの」 「出勤率は…」
みんな同じところで迷ってしまいます。
でも、今日のポイントはひとつだけです。
“有給休暇は出勤扱いだけれど、実労働時間には含まれない”
まずはここを覚えておいてくださいね。
【有給休暇 出勤とみなす】所定労働時間と実労働時間の違いをやさしく解説のまとめ
今回は、有給休暇を取得したときの「出勤扱い」について解説しました。
重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 賃金や出勤率の計算では「出勤扱い」になる
有給休暇を取っても賃金は減りませんし、次回の有給付与のための出勤率(8割以上)の計算でも「出勤したもの」とみなされます。 - 残業代を計算する「実労働時間」には含まれない
有給休暇は実際には働いていない時間であるため、法律上の割増賃金(25%UP)が発生するかどうかを判断する「1日8時間・週40時間」の計算からは除外されます。 - 有給を取った週の休日出勤は、割増がつかないケースがある
「月曜日に有給を取り、土曜日に2時間休日出勤した」という事例の場合など、週の実労働時間が40時間を超えないため、法律上は割増なしの通常賃金(100%)の支給となります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 9時から12時まで3時間の有給(時間単位有休)を取り、12時〜13時の昼休みを挟んで、13時から19時まで働きました(会社の定時は18時)。
18時以降の1時間は割増(25%UP)になりますか?
💡 法律上は、18時以降の1時間に対して割増(25%UP)をつける義務はありません。
通常の1時間あたりの賃金(100%)が支払われます。
- 9:00〜12:00(時間単位有休): 3時間(お給料は出るが、実労働ではない)
- 12:00〜13:00: 昼休み
- 13:00〜19:00(実際の労働): 6時間
会社の定時(18時)を過ぎて19時まで働いたため、気持ちとしては「1時間残業した」と感じられますが、法律上の判断基準である1日の実労働時間は「6時間」であり、法定労働時間の8時間を超えていません。
そのため、この1時間は法律上「割増義務のない残業(法定内残業)」となり、通常の賃金(100%)の支給となります。
Q2. 有給休暇を取得すると、賞与(ボーナス)の査定でマイナス評価されることはありませんか?
💡 法律上、有給休暇を取得したことを理由に、賞与を減給したり評価を下げたりする不利益な扱いは「禁止」されています。
労働基準法(第136条)では、「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。
そのため、会社が「有給を取ったから」という理由でボーナスを一方的にカットしたり、人事評価をマイナスにしたりすることは違法となります。





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