ハローワークの求人票を見ていると、「週40時間」や「休憩60分」といった、法律にぴったり合った正しい数字が並んでいますよね。
これは、ハローワークの窓口で職員が会社の方に説明をして、正しく修正した求人票を掲載しているからです。
表面上は訂正されていても、「会社がこれまでの働き方(実態)を変えないまま、求人票上だけで計算を合わせてしまったサイン」が残っていることがよくあります。
この「不自然なサイン」に気づかずに応募してしまうと、入社した後に後悔することになるかもしれません。
今回は、ハローワークに33年勤務した私の目線から、一見正しく見える求人票の「不自然なサイン」に気づくポイントと、面接で確認する方法をわかりやすく解説します。
求人票の落とし穴
会社が「週40時間労働制」という基本ルールを十分に理解しないまま、表面だけを整えてしまうと、いくつかの“よくあるパターン”が生まれがちです。
ここでは、その代表的な例を見ていきましょう。
労働時間から見抜く
パターン①:【土曜日の勤務時間が短い】週40時間の計算を合わせるための短縮勤務
完全週休2日制(土日休み)ではない会社で、ときどき見かけます。
- 具体的な例: 「月〜金曜日は9:00~17:00の7時間勤務、土曜日だけ9:00~15:00の5時間勤務(合計40時間)」
- 知っておきたいリスク: 月〜金曜日で35時間働いているので、土曜日は15時の時点で「週40時間」に達しています。
そのため、求人票の上では法律に合わせるために、敢えて「9:00~15:00」と記載し、実際には平日と同じ17時まで、「2時間の残業が最初から予定されている」可能性があります。

(筆者)
さらに踏み込むと、「土曜日の勤務そのものは8時間以内(法定内)だから、残業代は割増なしで払えばいい」と会社が勘違いしているケースが非常に多いです。
その結果、土曜日の15時以降の労働に対して正しい割増賃金(1.25倍)が払われない、あるいは「定時(17時)までいただけでしょ」となし崩し的にサービス残業にされてしまう可能性があります。
土曜日の15時以降は、たとえ8時間以内であっても割増賃金が必要という基本を知らない(あるいはあえて無視している)会社は要注意です。
パターン②:【1年単位の変形労働時間制】を正しく理解していない
正しく理解せずに、安易に運用してしまっていることも多いです。
このような場合、長時間労働や連続勤務が続き、体に大きな負担がかかってしまうおそれがあります。
- 具体的な例: 「1年単位の変形労働時間制を使っているから、毎月バラつきがあっても大丈夫」と会社が思い込んでいるケース。
- 知っておきたいリスク: 会社側が「年間の休日数さえ法律をクリアしていれば、自由にシフトを組んでいい」と都合よく誤解していることがあります。

(筆者)
1年単位の変形労働時間制には、 「1日は最大10時間まで」「年間の出勤日は280日以内」 といった基本のルールがあります。
さらに、働く人の体への負担を減らすために、次のようなルールもあります。
- 1週間の労働時間は52時間まで
- 連続して働けるのは原則6日まで
- 勤務シフトは30日前までに書面で知らせること
「シフトはその時々で忙しさに合わせて決める」という会社は、制度への理解が足りません。
休憩時間から見抜く
パターン③:【休憩120分?】休憩時間を不自然に増やして時間を合わせている
ハローワークの求人票で、実はとてもよく見かける調整パターンです。
- 具体的な例: 「9時〜18時(拘束9時間)」勤務なのに、求人票の休憩時間が90分や120分など非常に長く設定されている。
- 知っておきたいリスク: お昼休憩(60分)を超えた休憩時間は、「手が空いた時に適当に休んでね」程度の扱いになり、実際にはしっかり休めないまま働かされてしまう心配があります。

休憩が120分もあるなんてラッキー!って思いがちだけど、労働時間を少なく見せるための計算合わせの可能性もあるんだね……。
法律を守らない会社
まーちゃんのひとりごと
法律を守らない会社には2つのタイプがあります。
① 悪気はないが「本当に知らない」
「業界の昔からの慣習だから」「前の担当者からそう教わったから」と、労働基準法を正しく理解しないまま、悪気なく違法な運用を続けている会社。
② 求人票上だけ取り繕う「確信犯」
実態(働き方)を変える気はないのに、ハローワークに求人票を掲載してもらうためだけに、書類の上で計算を合わせる会社。
求人票だけでは、会社の「実態」を完璧に見抜くのはどうしても限界があります。
確信犯の会社は言うまでもなく、悪気がなくても労働条件にルーズな会社は、結果的に働く人を大切にできません。
「この数字、おかしくないかなぁ?」と気づいたら、面接で確認することが重要です。
求人票で「あれ?」と思ったら、面接で確認
求人票に気になる点があれば、面接で質問してみましょう。
土曜日の残業代の扱いを質問する(パターン①対策)
「月平均の残業時間は10時間ほどとのことですが、こちらは平日の残業に加えて、土曜日の週40時間を超えた分の時間も含まれていますでしょうか?」
- ここをチェック: 法律通りにしっかり時間を管理している会社であれば、「そうですよ、土曜日の〇時以降は週40時間を超えるので、割増対象として計算に入っています」と丁寧に答えてくれるはずです。
もしここで言葉を濁したり、「土曜日も定時(17時)までは普通の基本給の範囲内だよ」などと言われたら、「最初から2時間のサービス残業が予定されている」可能性が非常に高いです。
シフトが決まる時期を質問する(パターン②対策)
「1年単位の変形労働時間制を採用されているとのことですが、年間の会社カレンダーや、毎月の勤務シフトはだいたい何日前くらいに決まりますか?」
- ここをチェック: 制度を正しく運用している会社は、必ず事前に年間計画やカレンダーを作っています。「その時々で、忙しさに合わせて決めている」という回答であれば、制度への理解が足りないサインかもしれません。
休憩の時間帯を質問する(パターン③対策)
「求人票では休憩時間が〇分とありますが、こちらは何時から何時までのようにはっきり時間帯が決まっているのでしょうか?」
- ここをチェック: 「みんな手が空いたときに自由に取っているよ」など、時間がはっきり決まっていない回答の場合は、実際にはしっかり休めない環境かもしれません。
【求人票の落とし穴】労働時間・休憩時間から法律を守らない会社を見抜くポイントのまとめ
求人票は会社の「労働条件に対する意識」を映しています。
たとえ表面上は正しく見えても、 所定労働時間や休憩時間の不自然さに気づける知識があれば、 面接でしっかり確認し、入社後の「こんなはずじゃなかった」を大きく減らすことができます。
労働法の知識は、あなた自身の働く環境を守る心強い味方です。
少しずつ身につけていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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