2019年の働き方改革で導入された「年5日の有給休暇取得義務」。
「繰り越し分から使っても5日にカウントされるの?」
「当年度の有給を先に使わないといけないの?」――こんな疑問、会社の担当者や従業員の方からよく耳にします。
結論を先にお伝えすると、繰り越し分を使っても5日にカウントされます。
この記事では、繰り越し分と取得義務5日の関係をわかりやすく解説します。
有給休暇取得義務5日とは
年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、会社は付与日(基準日)から1年以内に5日以上の有給を取得させなければなりません。
このルールは、忙しさなどを理由に有給がまったく取れない状況を防ぎ、従業員が最低限の休息を確保できるようにするために設けられています。
取得方法は次の3つです。
- 従業員が自分で申請して取得する
- 会社が時季を指定して取得させる
- 計画年休としてあらかじめ休む日を決めておく
どの方法でも、基準日から1年以内に5日取得できていれば義務は達成です。
なお、会社がこのルールを守らなかった場合は罰則の対象になります。
繰り越し分から消化できる?
〇有給休暇の繰り越しとは
有給休暇には2年間の有効期限があります。
そのため、付与された年に使い切れなかった分は翌年度に繰り越され、新たに付与された日数と合わせて使うことができます。
例)
前年の残日数:5日
当年度に新たに付与された日数:11日
当年度使用できる日数:16日
また、実際に取得するときは「繰り越し分から順番に消化される」のが一般的です。
そうすることで、時効で消えてしまう日数をできるだけ減らすことができます。
この「古い日数から使う」ルールが、取得義務5日との関係で混乱を生む原因になっています。
では、実際のところどうなのでしょうか。
〇繰り越し分から消化できる?
繰り越し分から取得しても、年5日の取得義務にカウントされます。
つまり、「当年度に付与された有給か、前年から繰り越された有給か」という区別は、取得義務の判断には一切関係ありません。
重要なのは、「基準日から1年以内に、実際に5日取得したかどうか」だけです。
〇事例
たとえば、基準日から1年以内に、繰り越し分から3日・当年度分から2日取得した場合でも、合計5日取得していれば義務は達成されます。

有給を5日取らないといけないって言われてるんだけど…
繰り越し分から使っても、取得義務の5日のカウントになるの?

(筆者)
繰り越し分から使っても、ちゃんと5日の取得義務にカウントされますよ。

繰り越し分から3日、今年の分から2日使った場合でも…?

(筆者)
その合計5日で義務達成になりますよ。
どの年度の有給かは関係なくて、
“基準日から1年以内に5日休んだかどうか”だけを見るんです。
「どの年度の有給か」ではなく、「その年度の基準日から1年以内に5日休んだか」が判断基準です。
まーちゃんのひとりごと
もし「今年付与された分だけを5日の取得義務にカウントしなければならない」というルールだったら、どうなるでしょうか。
有給休暇には「付与から2年で時効」という決まりがあります。
そのため、前年に使い切れずに残った有給は、翌年度に繰り越されます。
ところが、もし“繰り越し分は義務の5日に含まれない”というルールだった場合、 従業員は 新しく付与された当年度分だけで5日を消化しなければならなくなります。
すると、前年から繰り越した有給が後回しになり、時効で消えてしまうリスクが大きくなります。
そこで国は、「当年度分か繰り越し分かは問わず、基準日から1年以内に実際に休んだ5日間」を義務の対象とする、シンプルでわかりやすいルールにしています。
【有給休暇】取得義務5日は繰り越し分から消化できる?をやさしく解説のまとめ
有給休暇の取得義務5日は、付与日から1年以内に5日取得していれば達成されます。
その5日が当年度の有給であっても、前年からの繰り越し分であっても、どちらでも問題ありません。
難しく考えず、必要なときに安心して有給休暇を取得してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 繰り越し分の有給を使ったら、会社から「それは義務の5日に入らない」と言われました。
本当ですか?
💡それは会社側の誤りです。
厚生労働省の資料では、繰り越し分から取得した有給も「当該年度の5日取得に含まれる」と明確に示されています。
当年度分か繰り越し分かという区別は、取得義務の判断には関係ありません。
Q2. 会社から「当年度の有給から先に使うように」と指示されました。
従わなければいけませんか?
💡有給休暇の消化順序をどうするかは、会社の就業規則で決められています。
多くの会社では、従業員の有休が時効(2年)で消えてしまわないよう、「古い分から先に使う」というルールにしています。
しかし、中には当年度分から先に使うと定めている会社もあり、それ自体は法律違反ではありません。自分の会社のルールがわからない場合は、総務・人事に確認してみましょう。
Q3. 自分では有給を申請していないのに、会社から「もう5日取得済みです」と言われました。
どういうことですか?
💡会社には「時季指定」といって、従業員が自ら申請しない場合に、会社側が有給を取得する日を指定できます。
これは法律で認められた方法です。
ただし、指定の前に従業員の意見を聴きできる限り希望に沿うよう努めなければなりません。
詳細は会社に説明を求めてみてください。
参考元:厚生労働省「確かめよう労働条件(年次有給休暇Q&A)」






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