もし、従業員が3日で辞めてしまったら・・・
「せっかく採用して、制服も準備したのに……たった3日で辞めるなんて」と会社は腹立たしく思い、
一方、すぐに辞めた従業員は「思っていたのと違う、もうこの会社には関わりたくない」と強いストレスや不満を抱えていることも少なくありません。
こうした気持ちのすれ違いが起きると、会社は「給料を払いたくない」、元従業員は「制服を返さない」というトラブルが起こりやすくなります。
この記事では、このよくある対立をどう整理し、どのように解決していくべきかを考えてみたいと思います。
退職トラブル
給料を払いたくない会社
「わずか3日で辞めた人に、制服も返してもらっていないのに給料を払いたくない」と考えるのは会社の本音だろうと思います。
しかし、労働基準法では、賃金は「労働の対価」であり、会社は労働が提供された時点で支払義務を負います。
つまり、
- 制服が返ってこない
- 連絡が取れない
- トラブルがある
これらを理由に給料の支払いを拒むことはできません。
制服を返さない元従業員
一方、従業員側も、「求人票と違う」「面接で説明された内容と違う」だからもう会社には関わりたくないと思っていることがあり、そのため、制服の返却が後回しになったり、放置されたりするケースが起ります。
ただし、制服は会社の所有物なので、返却義務があるのは当然です。
返さないまま放置すると、会社から返却請求が来たり、実費相当額の損害賠償を求められる可能性もあります。
給料と制服は“交換条件”ではない
問題がこじれる最大の原因は、会社と元従業員が次のように考えてしまうことです。
〇会社「制服を返さないなら給料を払わない」
●元従業員「給料を払わないなら制服を返さない」
しかし、法律上はこの2つはまったく別の義務です。
どちらが先、という話ではなく、双方がそれぞれ果たすべき義務です。
会社はどう解決するのが正しいのか?
会社は給料を支払ったうえで、制服が返却されない場合は次のような手段を取ることができます。
- 返却を求める書面を送る
- 返却がない場合、実費相当額の損害賠償を請求する
つまり、会社は「給料を払う → 制服の返却を別途請求する」という順番で対応する必要があります。
「制服代を給料から差し引けばいいのでは?」
と考える会社もありますが、これも原則として認められません。
労働基準法24条では、賃金は全額支払うことが義務づけられているからです。
会社が勝手に天引きすることはできません。
また、「返却しなかったら一律◯万円徴収する」といった、あらかじめ金額を決めておくことも賠償予定の禁止(第16条)にあたり認められないと考えられます。
トラブルをこじらせないために
会社側が取るべき対応
- 給料は期限通りに支払う
- 制服返却の依頼を文書で行う
- 返却がない場合は実費相当額の損害賠償を検討する
従業員側が取るべき対応
- 制服や備品は速やかに返却する
- 返却が遅れている場合は連絡を入れる
- 給料が支払われない場合は労働基準監督署へ相談する
双方が「相手が悪い」と言い張ると、問題は長期化してしまいます。
しかし、法律の原則に従えば、会社は給料を支払い、従業員は制服を返すというシンプルな問題なのです。
まーちゃんのひとりごと
ハローワークの窓口で「すぐ辞めちゃうんだよね」とこぼす事業主さんの求人票を見た時に、もう少し仕事内容や条件を丁寧に書けば、ミスマッチが減るのでは…と思うこともありました。
未払いのトラブルを抱え続けるよりも、サッと処理して気持ちを切り替え、求人票の見直しも行い「次こそ長く働いてくれる良い人」を探すことにエネルギーを使ってほしいな、と思います。
【退職トラブル】給料を払いたくない会社vs制服を返さない元従業員についてのまとめ
退職時のトラブルは感情的になりやすいですが、法的には次のように整理できます。
- 給料の支払いは会社の最優先義務
- 制服の返却は従業員の義務だが、給料とは別問題
この原則を理解しておくと、退職時のトラブルを冷静に処理しやすくなります。
感情ではなく法的に整理してで対応してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考元:
・労務管理講習会(大津労働基準監督署)
・賠償予定の禁止(第16条)(和歌山労働局)







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