従業員が給料の前払いを希望したら応じなければならないのでしょうか?
前払いと前借りの違いや前借り制度の注意点について解説します。
給料の前払いについて
労働基準法第25条は非常時(出産、結婚、病気、災害等)について、給料日前でも給料を払うように定めています。
法律上は、非常時についてのみ規定があり、非常時以外は必ずしも前払いの要望に応じる必要はありません。
また、給料の前払いとは、従業員が働いた分だけを先に支払うことです。
【事例】給料の前払い(非常時)
社長!給料の前払いをお願いします。
急にどうしたんだ?
妻の出産が予定より早くなりそうで
25日の給料日では間に合わないみたいなんです。
わかったよ。じゃあ、今日までの分を先に支給するね。急ぐだろうから、明日の朝1番に払えるようにするよ。
社長!助かります。
まーちゃんのひとりごと
今回のただしくんの場合は非常時なので、社長さんは前払いに応じなければなりませんが、支払いを何日以内にしなければならないという決まりはありません。
社長さんが早く対応してくれてよかったですね。
前払いと前借りの違い
前払いはすでに働いた分を給料日前に受け取ることでしたね、一方前借りは今後働いて得る給料を先に受け取ることです。
前借りは、従業員に融資することなので会社は応じる義務はありません。
前借り制度の注意点
前借りには注意が必要です。
会社が前借り制度を導入する際は「前借金相殺の禁止」など労働基準法に則った運用が求められます。
「前借金相殺の禁止」(労働基準法第17条)
働くことを条件に金を貸して、働くことを強制したり、退職を妨げたりすること
貸した分を勝手に毎月の給料から差し引くことなどは禁止されています。
労働基準法に則った運用
労働者からの申出により融資を行う場合、融資金額、返済期間、返済方法等から見て労働者の退職の自由を奪うようなものでなければ、本条違反に当たらないとされています(昭63.3.14 基発150)。
労働することを条件としない単なる借金は違法ではないではありません。
給料の前払い法律的には?前借りとの違いについてわかりやすく解説!のまとめ
いかがでしたか?
従業員から前払いや前借りをお願いされた時の一助になればうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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