ハローワークの求人票を見ると、「週40時間」や「休憩60分」といった法的に正しい数字が書かれています。
なぜなら、ハローワークが会社に矛盾点を説明し、修正後の求人票を掲載しているからです。
しかし、その「修正された求人票」の裏には、会社が実態を変えずに辻褄を合わせた痕跡が残っていることが多々あります。
その痕跡こそが、入社後のトラブルにつながるサインです。
今回は、元ハローワーク職員の視点から、一見正しい求人票の中に隠された「矛盾の痕跡」を見破るチェックポイントをご紹介します。
労働時間を「急いで修正した」痕跡を見破る3パターン
会社が週40時間制の認識が甘い場合など実態を変えずに表面上だけを修正した求人票には不自然さを感じることがあります。
パターン①:【休憩時間を不自然に多くして合わせる】
これが最も多い修正パターンです。
- 痕跡の正体:始業・終業時間を変えずに、休憩時間を長くして週40時間に収めている。
- 具体的な矛盾:「9時〜18時(拘束9時間)」のはずが、休憩が90分や120分になっている。
- 読み取るべきリスク:一般的な昼休憩(60分)を超えた休憩時間(例えば30分)は、業務中に「適宜休憩」とされ、実態としては昼休憩60分で残りの30分は仕事を強いられることがある。

(読者の声)
休憩120分って、ラッキーじゃなくて逆に怪しいってことなんだね…
パターン②:【労働時間を短く見せかけ辻褄を合わせる】
特に週休2日制を取り入れていない会社に見られるパターンです。
- 痕跡の正体:「1日7時間×週6日」で週42時間になるのを避けるため、土曜日の勤務時間を短くして週40時間に収めている。
- 具体的な矛盾:「月〜金曜は7時間勤務だが、土曜日だけ5時間勤務」になっている。
- 読み取るべきリスク:平日の残業と、土曜日の隠れた2時間(15時以降の労働)が、記載の残業時間と辻褄があっているか。
土曜日の(所定労働時間から隠れた)2時間分について、割増賃金を支払わないまたはサービス残業を求めることがないかを面接で慎重に確認を。

(元職員の解説)
土曜日の労働時間が8時間以内であっても、週の労働時間が40時間を超える部分(土曜日の2時間分)は、割増賃金が必要です。この基本を知らない会社は要注意です。
パターン③:【1年単位の変形労働時間制で乗り切ろうとする】
変形労働時間制度で、労働時間の矛盾をごまかそうとする最も厄介なパターンです。
- 痕跡の正体:1年単位の変形労働時間制を導入していると説明し、週休2日制でないことを正当化しようとする。
- 読み取るべきリスク:「年間休日さえクリアすればOK」と誤解した運用になっていないか。

(元職員の解説)
1年単位の変形労働時間制では、1日の労働時間:最長10時間、年間の労働日数上限:280日という基本的な制限の他に、労働者の健康を確保するために下記のルールも定められています。
・1週間の労働時間の上限:52時間
・連続勤務日数:原則6日
・勤務シフト:30日前までに書面で通知
これらのルールが守られていないと、負担の大きな働き方に繋がる心配があります。
怪しい求人を見つけたら?不安を解消する「魔法の質問」
疑問点がある場合は、面接で「入社後の実態」を確認することが重要です。
質問 | 狙い |
質問①:休憩時間の実態「求人票では休憩時間が〇分とありますが、これは業務のどの時間帯で取得するのでしょうか?」 | パターン①の不自然な休憩時間が実態を伴うものかを確認できます。 「自由に取って」など曖昧な回答には注意が必要です。 |
質問②:土曜日の残業代「月平均の残業時間が10時間程度となっていますが、これは平日の残業と土曜日の15時以降の合計ですか?」 | 土曜日の短縮勤務(パターン②)について、週40時間制に基づき残業として扱っていることが確認できれば一安心です。 |
質問③:変形労働の計画「1年単位の変形労働時間制とありますが、勤務シフトの具体的なパターンや年間休日数の予定表は、いつ頃決まるのでしょうか?」 | 制度をしっかり運用している会社は、必ず年間カレンダーや計画を準備しています。 曖昧な回答であれば、制度の理解度が低いサインです。 |
【元職員が教える】「週40時間制」を知らない会社を見抜く!求人票の【修正の痕跡】のまとめ
まーちゃんのひとりごと
求人票は会社の「労働条件に対する意識」を映しています。
表面上は正しくても、休憩時間や所定労働時間の不自然さに気づき、面接で納得できるまで確認できる知識があれば、入社後の「こんなはずじゃなかった」というトラブルの多くを回避できると思います。
労働法の知識は、あなたの労働環境を守る最強の武器になります。
少しずつ学んでいきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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