みなさんは勤務している会社の夏季休暇の仕組みを知っていますか?
多くの会社では、有給休暇の制度を利用して、実質的に夏季休暇を取れるように工夫しています。
その際よく用いられるのが「計画的付与」と「時季指定義務」です。
今回は、この2つの違いについて解説します。
夏季休暇ない会社
夏季休暇やお盆休みは法律で義務づけられた休暇ではありません。
会社が独自に設定している「特別休暇」の1つであり、制度として設けている会社は全体の40%*ほどです。
半数以上の会社では「制度としての夏季休暇」は設けていないということになります。
*令和6年就労条件総合調査の概況
夏季休暇制度がないからといって、まったく夏休みが取れないわけではありません。
多くの会社では、有給休暇を活用して、夏季休暇分として休みを設ける運用をしています。
会社が有給休暇を使って夏休みを作っているといえます。
有給消化?
計画的付与とは
労働基準法第39条では、有給休暇のうち5日を超える部分については、労使協定を結ぶことで計画的に付与することができると定められています。
たとえば、年10日の有給休暇が付与されている従業員に対して、5日は本人の自由に使わせる必要がありますが、残りの5日分は会社が「この日に休んでください」と指定することができます。
この制度を使うことで、「8月のお盆期間中に一斉に休んでもらう」ことができます。
会社にとっては業務スケジュールが立てやすくなりますし、従業員も一斉なら休みというやすいメリットがあります。
有給休暇の計画的付与を実施するには、労使協定を締結し、その内容を就業規則に明記する必要があります。
時季指定義務とは
2019年の労働基準法改正により、有給休暇が年10日以上付与されている従業員に対して会社は、5日分を必ず取得させることが義務になりました。
→「従業員が使わないなら、会社が指定してでも休ませる」ことが会社の義務とされたのです。
例えば、お盆に3日間の一斉の有給取得日を設定し、残り2日分は各自の希望に応じて取得してもらうことで5日の取得義務をクリアする運用などが考えられます。
有給休暇は、
●5日を自由に取らせてもいいし、会社が指定してもOK
●連続して取らせる必要はなく、年5日取得できればOK です。
違いを整理してみると
計画的付与 | 時季指定義務 | |
対象日数 | 5日を超える部分 | 年5日分 |
目的 | 業務調整・休暇の分散 | 従業員の健康維持 |
労使協定 | 必要 | 不要 |

夏休みは勝手に決められていると思っていたよ(笑)

会社が勝手に有給休暇を夏季休暇に充ててるわけではなく、制度として運用されていることがわかりましたね。
まーちゃんのひとりごと
特別休暇として夏季休暇がある会社の割合は、約40%とあまり多くない印象ですが、多くの会社では、有給休暇の「計画的付与」制度を活用して夏休みを確保しているようです。
計画的付与制度を使うことで会社は業務調整がしやすくなり、従業員も「気兼ねなく休める」環境が整う反面、制度の運用次第では、自分の意思で有給が取りにくくなることもあります。
「どの日が計画的付与日で、自由に申請できる有給の残りが何日あるか」といった基本情報は確認しておいてくださいね。
【夏季休暇ない会社】有給消化?計画的付与と時季指定義務の違いについて解説のまとめ
いかがでしたか
「うちの会社はどうなんだろう?」と気になる場合は、就業規則や労使協定の内容を確認してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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